翻訳家は各国の文化にも精通すべし

翻訳をする時に、ネイティブ英語がわかるかだけでなくこれも大事だなと思ったのは、その国の文化です。例えば、世界一有名であろう児童文学、ハリーポッターでは、イギリスの文化を知らないと読んでいて「あれ?」と思うところが出てくるはずです。もし子どもがイギリスの緯度や南中高度を知らなかったら、夜9時にダンブルドア校長の部屋へハリーが呼び出されたとき、日が沈み始めたという描写に違和感を持ったでしょう。ヌガーを食べたと書いてあっても、それが何なのか、クリスマスに家に帰ると書いてあっても、それがその国の文化で普通なのか、わからなければ少し不思議な点が生まれます。

翻訳家はもちろんその点を理解しておかなくてはならなくて、時に訳だけでは伝わりきらないだろうと言う場合には米印を付けて注釈が必要です。日本人の多くが知らないであろうと推測したりする力も必要なので、日本文化を知らない人もこのような適切な翻訳はできないわけです。翻訳家になろうと思ったら、翻訳をする国の言語だけでなく、その国の文化にも着目しましょう。

もし私が小説を翻訳することになれば、まずはその国の文化や風習をざっくりと調べてからします。ファンタジーならまだしも、自叙伝などではもっとその色は濃く出るでしょうからね。例えば、日本で生活保護を受けているというと結構貧困しているイメージですが、海外では国の保護が厚くて、受けられるハードルがかなり低い場合だってあります。それを知っているのと知っていないのとでは、読み手が受けるイメージが全然違います。この人はそんな大変な人生を送ってきたのだなあと思っても、その国ではそう捉えられないかもしれません。これらは注釈で翻訳したページに付け加えるべき情報だと思います。なければないで読めますが、原作者の言わんとしていることを正しく受け止めるなら必要不可欠です。翻訳家自身がその国や地域に精通していることが必須条件となる仕事はたくさんあるでしょう。